税制改正で2018年1月から一時は廃止も議論されていた配偶者控除がこれまでの103万円までの年収要件が150万円~201万円まで利用できるようになります。なお、150万円からは収入が増えると現行の配偶者特別控除と同様に控除額が逓減していく形になります。
ただ、変わったからといって働き方が変わるのか?という話ですよね。今回はパート主婦という働き方をしている人にとってどのように変わるのかをまとめてみたいと思います。
実際に私の妻もパートで働いているので、来年の妻の働き方を考えてみました。
103万円の壁はそもそもなかった?
結局のところ、103万円の壁といわれていた壁はそれを過ぎても配偶者特別控除という控除が利用できたので、実質的にはほぼ機能していないわけです。
むしろ「配偶者手当の見直しとは?配偶者手当の仕組みや企業の対応」などで指摘されているように企業が独自に実施している家族手当(配偶者手当)や、2016年10月から変わった「2016年10月から社会保険の年収の壁が106万円の壁に変更される」の方がとりわけ働き方に対する影響度は大きそうです。
下のサイトも制度の説明において参考になります。2017年改正に対応した説明になっています。
どのくらい働くのがベストなの?
今回の税制改正のポイントはここでしょう。150万円を超えるなら社会保険に加入する所得の逆転現象が解消するライン。ここまで働くなら150万とか縛りなく働いたほうがメリットが大きくなります。
一方で、106万円の壁による負担は大きいです。
実際にシミュレーションしてみましょう。
106万円を超えて社会保険に入った場合
仮に106万円だとすれば標準報酬月額は4等級の88,000円になります。
福岡県(協会けんぽ)の場合の保険料は下記の通り(労働者負担のみ。介護保険なし)
4,440円(健康保険料)
8,909円(厚生年金保険料)
合計:13,349円(合計)
年間:160,188円
社会保険料の負担を考えると、最低でも106万を超えるなら121万円以上稼がないとペイできない。時給1000円として16万円分稼ぐなら160時間の労働時間を増やさないといけません。
1日8時間として20日となると、ほぼ1か月は社会保険料を負担するための働かないといけないわけで、これでようやくトントン。
将来の年金受取が増えるとかのメリットもあるけど、この程度の報酬だと追加されるのも雀の涙のはず。
年収130万円を超えた場合(社保じゃなくて国保に入ったケース)
勤務先が社会保険に入れてくれないような中小企業だったりした場合ですね。
130万円を超えたら第3号被保険者から第1号被保険者となります。
こうなると国民健康保険と第3号被保険者だと免除だった国民年金を払う必要があります。
ちなみに年収130万円時の国保+年金は以下の保険料です。
給与所得控除の65万円+基礎控除(住民税)の33万円を引いたら所得は32万円になります。ここに国民健康保険税がかかるわけですね。
国民健康保険料:95,393円(年間)
国民年金保険料:195,120円(年間)
合計:290,513円
……まじですか。130万円こえたら税金も入れたら実質の手取り100万を切るってこと……。あほらし。
というよりも専業主婦(第3号被保険者)が優遇されすぎだと思います。
第3号被保険者様の特典
健康保険料と国民年金保険料が実質タダです。実施には夫の社会保険料の中で賄われていますが、第3号被保険者の妻がいるかどうかは関係なく一定なので、実質タダです。
んで、どうするの?
結論は出ていると思いますが、配偶者控除が150万円になっても、戦略としては第3号被保険者でいることの方がメリットが大きいです。
ただ、私の妻が働いている会社は106万円の壁の対象ではない会社(小規模零細)なので、106万円の壁は考えなくていいです。
比較的自由は高いので130万円近くまで働いても社会保険に入らずに済むと思われますので、130万円以下でパート先の社会保険に入らなくて済む範囲まで働くという働きたをとると思います。
今年までは103万円に収まるように働いていたので、2018年からは少しだけ働ける量が増えますね。
103万円を超えた分は確定拠出年金で節税できる
2017年1月からは専業主婦(第3号被保険者)も401kに入れるようになります。妻が仮に120万円くらい働くとすれば年20万円くらいの401k掛金を拠出すれば、所得税や住民税もゼロにできます。
厚生年金に入っても年金は増えますが、それで増える負担(社会保険料)よりも401kに掛金納付したほうが効果的かと思います。
上のサイトで試算されていますが、年収120万円のパートの場合、確定拠出年金(iDeCo)に月17000円(年204,000円)掛金を入れれば妻の所得税・住民税もゼロ(28,500円の節税)になるとのこと。
どうでしょうか。どこまでコントロールできるかはわかりませんが、最適と思われるパート主婦の2017年の働き方を考えてみました。