損失限定型の投資信託の投資的価値。あんしんスイッチは買いか?
投資信託の募集でかなりの人気を集めているのが損失限定型、元本保証型をうたっているプロテクト&スイッチファンド(あんしんスイッチ)です。
相場が下落して投資信託の基準価額が一定を下回ると、指定されたプロテクトライン以下にはならないという特徴があるファンドです。
一見すると良さそうですが、個人的にはダメファンドだと思います。
三井住友銀行(販売者)のサイトにイメージ図があるので、それを見ていきましょう。
設定時は10000円の基準価額で最初のプロテクトラインは9000円、基準価額が10600円になるとプロテクトラインが引き上げられて10000円になります。
仮に10600円にワンタッチすれば損をすることはない。タッチしない場合でも最大損失は10%というファンドになります。
また、11,111円を超えれば最高額の90%が保証されるという内容になっています。
ただのロスカット条項付き+わずかの保証があるだけ
このファンド、実はプロテクトラインにタッチをした瞬間に全売りされます。たとえば、10000円の基準価額でスタートしたこのファンドの基準価額が9000円にタッチしたとしましょう。
この場合、その瞬間でファンドは解散となり、すべての保有資産が売却されキャッシュかされます。投資家には約束しているプロテクトラインの9000円が払い戻されます。
つまり、プロテクトラインというのは単純な強制ロスカットラインにすぎないわけです。
保証されるのは、プロテクトラインにタッチしファンドが全資産を売却したときにマイナス方向の差額があった部分です。
たとえば基準価額が8995円に下がった時、プロテクトラインである9000円を下回った5円部分が保証されるというだけなんです。
相場が大暴落するような場合は多少のメリットがあるかもしれませんが、徐々に下落していくような相場の場合、プロテクトラインの保証というのはごくわずかなものになるはずです。
コストは高い
ちなみに、重要なことですが、プロテクトラインを設定するためにクレディ・アグリコルグループとの間で保証契約を結んでおりますが、その費用は当然、投資信託のコスト(信託報酬)に上乗せされております。信託報酬は年率1.333%(税別)とやや高め
保証をかけている分だけ、コストが増加しておりますので、それはリターンを削ることになります。
個人的にはこうした見た目をよくして商品内容を複雑化するファンドは嫌いです。このファンドはベンチマーク(基準となる株価指数)が無いのでなんとも言えませんが、バランスファンドというように考えればiFree8資産バランスなら0.25%と信託報酬は1/5で済みます。
こうしたコスト的なところを見ても、高く評価はできないです。