ネット証券で貸株サービスを利用している人は二重課税問題を知っておいたほうがいい
詳しいつもりだったけど全く知らなかった二重課税問題。
貸株サービスの最大のデメリットは税制。配当金相当額が雑所得扱いで課税対象になる
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2016/07/14 20:20
貸株サービスというのは、保有株式を証券会社に預けておくことで貸株料という金利が0.1%程度もらえるというサービスです。中長期保有前提の株なら預けておいてもいいと思っていたのですが、これには二重課税問題があります。
貸株したままだと配当金が貰えず配当相当額が貰える
貸株をした状態のままだと、貸株している株式は証券会社の名義なので、配当金は証券会社に支払われます。そして証券会社がそこから税金分を控除した金額を投資家に「配当相当額」として払ってくれます。
信用取引の「配当落調整額」と名前が似ていますが別物です。
配当相当額は「雑所得扱い」になる
配当所得は雑所得扱いになるようです。
ということは、課税対象の所得になります。
つまり、配当相当に関する税金を引かれたあとの収入も別の所得扱いになるということです。雑所得は総合課税なので、課税対象になれば所得税+住民税が所得に応じてかかります。
雑所得として課税された場合は最低でも15%の税金がかかるわけで、わずか0.1%程度の貸株金利をもらうためのコストとしては高すぎです……。
サラリーマンなら20万円超えから課税される
サラリーマンの雑所得に関しては、下記のサイトにあるように20万円以下であれば申告不要制度がありますので、それ以下なら事実上は非課税といえます。
(多くの副業は雑所得扱い)
配当利回りが仮に2%とした場合20万円を超えるのは約1000万円。個人投資家でもこのくらいの株を保有している人は少なくないと思いますので、そういう方は貸株サービスに対して十分にご注意ください。
(追記)20万円以下なら非課税は間違い
追記です。
雑所得20万円以下なら申告不要なので非課税と書きましたが間違いです。
・確定申告をする場合は20万円以下でも要申告
・住民税には申告不要制度はないので市役所で申告する必要がある
ということは、住民税の税率10%分は雑所得なら100%課税されることになるので、貸し株サービスで0.1%分の金利をもらうために配当金の10%を税金としてささげなければならないということに……?
やる意味あるのこれ?
(追記の追記)マネックス証券は対策可能
以下、公式サイトより抜粋。
「配当金自動取得サービス」にお申込みいただくと、配当の権利確定時に当該銘柄を一時的に貸株の対象から外す処理が自動で行われるため、普段は貸株金利を受取りながら、企業からの配当金も受取ることが可能となります。
なお、配当金自動取得サービスはすでに提供している「株主優待自動取得サービス」とは異なり、個別銘柄ごとに設定することができず、一括登録のみとなります。
また、配当金自動取得サービスのご利用中は、サービスの対価として通常の貸株金利から「配当金サービス利用率」を差引いた金利が適用されますこと、あらかじめご了承ください。
貸し株金利が0.1%→0.05%にダウンしますけど、こうした自動取得が可能なサービスもあるみたいです。そこまでして利用する意味あるのかなこれという気もしますけど。
まだまだある課題やデメリット
今回取り上げた問題以外にも
・配当金扱いじゃないので損益通算や配当控除が利用できない
・株主優待の長期特典(複数年株主特典)が受けられない場合がある
・万が一証券会社が倒産したときは預けた株ごとパーになる可能性
といった点も課題として存在します。